身の回りの鳥に興味を持つようになって図鑑やネットの調べ物が増えると、少なからず「禽(キン)」の文字にお目にかかる。訓読みでは、「とり」である。
禽獣のように「禽」を使った熟語にはどんなものがあるのだろうと、ちょっとネットで調べてみた。
生態、特に場所に関連する言葉としては、
家禽(飼われているもの),水禽(水鳥),渉禽(水辺の鳥)などが見つかる。このカテゴリーに属する言葉として林禽が見つかり、さらにこれを追いかけたら江戸時代の鳥類図鑑「禽譜」に行き当たった。
この図鑑では鳥類を「水禽」「林禽」「原禽」「山禽」に4大別している。水禽以外は現代ではなじみの無い分類名だが、なぜここに分類されるのか良くわからないものもある。山禽として雷鳥はわかるが孔雀が入っているのはなぜだろう。江戸時代の博物学者の情報収集には限界があったということか。ちなみに鶏は本書では原禽に分類されている。原禽よりも地禽(チキン)がふさわしい。
駄洒落はこのくらいにして、家禽の対意語として、野禽という言葉もネットで見つかった。
習性や行動・動作に関連する熟語として、猛禽はおなじみだが、夜禽(夜行性のもの),春禽,鳴禽,飛禽,遊禽,良禽などがあった。これらには同音意義語がたくさんあるから言葉遊びの材料としては面白い。夜勤,春琴,卑近,遊金,料金..
その他の「鳥」を使った熟語には、姿かたちに関する言葉として小禽があり、鶴の別称として仙禽がある。
また、禽獲(とらえること)、生禽(いけどりにすること)、養禽(飼育すること)などもある。そもそも禽の一字で、「とりこにする」とか「いけどり」という意味があるそうだ。象形文字として眺めていると、昔のへっつい(かまど)に釜を置いた姿にも見える。(上図)
調べものの途中では、禽の文字が入った地名や人名もいくつか見つけたが、「美禽」と書いてミドリと読ませる例がちょっと楽しかった。
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