2013年1月20日日曜日
優先座席考
午前中は野暮用で潰れてしまった日曜日。帰宅してびーすけの様子を家人に確認すると、よろしくないとの事で朝のびーさんは中止したそうだ。それでも私が庭に出ると、やつはやってきて散歩に行きたそうにするから、短い夕方のびーさんに出ることにした。不自然な歩き方をよく見ると、右前足に体重がかからないように歩いている。触っても痛がらないのだがどうしたんだろうね。
すでに日も傾きつつあったので、小ぶりなオリンパスE-PM2に40-150のレンズを付けたものを持って出る。頭上の半月を撮る。
びーすけは少々不自由そうであるものの、あいかわらずクンクンしながらあっちこっちで私を引き止めるいつもの散歩になった。脚の故障で思い出したのは朝に乗った上り電車の出来事。
席は全部埋まっていているが立っている人はわずかという車両に、杖に頼って歩く老婦人が乗ってきた。優先座席の前に立つが誰も譲らない。そのうち婦人の杖のグリップのあたりから、カチンという高い金属音が鳴った。しばらくするとまたカチンと鳴る。繰り返し鳴る。何の音なのだろうと考えつつ、少し離れたところに座っていた私は婦人の手元から目が離せなくなった。婦人がこちらを向いたのを機会に、気持ちはわかったような気がしたので、立ち上がって手振りでここに座れと合図した。優先座席で、とうとうスマホから顔をあげることがなかった若い女の子や、平然と座って婦人を見ていた青年なんぞはどうでも良いのだが、婦人は小さな声で礼を言われたようだが、あまりにも言葉が少ない世界にひどく寒々しい思いをしたのだ。
優先座席は、それまで思いやりの行為だったものを、ルールに変えてしまったものだと私は考えている。優先座席以外に座っている場合は免責になると短絡するアホを生み出したり弊害のあるルールだが、民度の低下なぞとまぁその善し悪しの深い議論は私には荷が重いが、ルールなのだから座らせてくれと言って良い事になった。私がもっと歳をとったら、優先座席まで元気にひょいひょいと歩いて行って、「すまないけど座らせてくれないか?」と言えるだろうか。うむむ。やっぱりルールにはならないのだよ本来。
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